本研究ではわれわれが現在持つ世界最大の再電離期(z=6.5)の銀河サンプルを軸に、分光観測と近赤外観測の追観測を行い、初期宇宙における再電離および銀河進化のプロセスを追うことが目的である。平成19年5月にすばる望遠鏡共同利用観測として分光観測を行ったが天候に恵まれず、観測データの一部が取得されたにとどまった。しかしながら、この一部のデータだけからでも世界最大のz=6.5の銀河分光サンプルを構築し、再電離以前以降で銀河の明るさ分布と有意な差があるか否かについての途中経過的な報告を、いくつかの研究会において発表した。平成20年度の観測時間も確保したので、本格的な研究の進展は来年度以降に期待したい。z=3付近の2平方度にわたるライマンα輝線銀河広視野撮像探査については観測・解析も順調に完了し、初期成果をまとめた。この研究においてはライマンαブロブという天体が銀河の高密度領域に選択的に存在することを示した。一方で研究協力者のMatt Malkan・Chun Ly(カルフォルニア大学)が中心となって行うキットピーク望遠鏡の観測は平成20年5月に予定されている。また主目的であるライマンα輝線銀河と並んで高赤方偏移における星形成銀河であるライマンブレイク銀河も同時にサンプルし、この両種族の進化上あるいは物理的なつながりについて解明するとともに、現在の銀河形成モデルの本質となっているアセンブリの歴史を明らかにすることも目的である。これについては初期宇宙の初期銀河団候補の発見とその特性についてまもなく論文提出の予定である。
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