本研究ではわれわれが現在持つ世界最大の再電離期(z=6.5)の銀河サンプルを軸に、分光観測と近赤外観測の追観測を行い、初期宇宙における再電離および銀河進化のプロセスを追うことが目的である。平成21年4月にケック望遠鏡共同利用観測として分光観測を行い、まずまず良質の観測データが取得された。このデータから世界最大のz=6.5の銀河分光サンプルを構築し、再電離以前以降で銀河の明るさ分布と有意な差があるか否かについての途中経過的な報告を、いくつかの学会において発表した。この成果については現在論文執筆中である。昨年天候不順で未達成のまま終わった近赤外撮像データについても本年度は部分的に所得に成功し、現在データ解析中である。z=3におけるライマンブレイク銀河についてもサンプルし、その光度関数、空間分布、星質量などについて新たな知見が得られた。これは、主目的であるライマンα輝線銀河と並んで高赤方偏移における星形成銀河であるライマンブレイク銀河も同時にサンプルし、この両種族の進化上あるいは物理的なつながりについて解明するとともに、現在の銀河形成モデルの本質となっているアセンブリの歴史を明らかにすることも目的である。同時にz=6のライマンブレイク銀河についてもサンプルし、非常に稀な初期銀河団候補を発見し、その特性についてまもなく成果をまとめる予定である。また当初の研究計画にはなかったが、本研究の展開として新たに初期宇宙におけるクェーサー探査を開始した。これは未だかつて誰も目にしたことのない宇宙で最初の大質量ブラックフォールを発見する計画である。すばる望遠鏡を用いて良質のデータを取得することに成功し、初期成果はいくつかの学会で発表した。これについては平成22年度以降大きな展開が期待される。
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