研究課題
赤外線で全天をサーベイ観測して天体のデータベースをつくることを主目的とし、赤外線天文衛星を2006年に打ち上げた。この衛星には近・中間赤外線での撮像観測を行うためのカメラを搭載していたが、我々はこのカメラを用いて中間赤外線領域にある二つの波長帯、9マイクロメートルと18マイクロメートルでも全天のサーベイ観測を行う機能を追加し、2007年度の冷媒消失までの間に全天を2回以上サーベイ観測することに成功した。この中間赤外線全天サーベイデータは1983年に米欧の赤外線天文衛星IRASがつくったカタログを、高い解像度と感度で置き換えることのできるものである。2007年度にはこの中間赤外線全天サーベイデータの解析パイプラインの開発を行い、さらに限られた天体の周りではより詳細な解析をおこなって白鳥座の方向に18マイクロメートルでのみ広がって見える天体を見つけ出した。2008年度にはさらに解析パイプラインの開発を続けると共に、全天のデータを解析する環境を整え、実際に全天の天体力タログの作成を行い、おおよそ80万の天体をリストアップした。また、前年度にみつけていた白鳥座の天体については地上からの追観測も行い、その正体に関して二つの可能性を示唆する論文にまとめた。さらに全天サーベイの結果から任意の天体の周囲での中間赤外線画像を作成するツールも開発した。この点源カタログからはこれまでに知られていなかったデブリ円盤をもつ天体を抽出し、それらの天体を追観測することで結晶質ケイ酸塩鉱物が存在することを明らかにした。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Publ. Astron. Soc. Japan 61
ページ: 291-299
he Astrophysical Journal Letters 695
ページ: L88-L91