研究課題/領域番号 |
19540252
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大西 明 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (70250412)
|
研究分担者 |
河本 昇 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50169778)
住吉 光介 沼津工業高等専門学校, 教養科, 准教授 (30280720)
|
キーワード | クォーク物質 / 状態方程式 / 超新星爆発 / ストレンジネス / カイラル対称性 / 強結合極限 / 格子QCD / 相対論的平均場 |
研究概要 |
クォーク物質のエネルギー密度を求め、この密度汎関数をハドロン相で表現する有効ラグランジアンから一様物質の状態方程式を与え、さらに原子核の混在を取り入れた状態方程式を得ることは、素粒子・原子核物理学における大きなチャレンジである。本年度は以下のような成果を得た。 (1) 強結合格子QCD(SC-LQCD) 強結合格子QCDは、QCDに基づいてクォーク物質からハドロン物質への相転移を解析的に記述できる可能性をもつ有望な手法である。今年度は強結合極限におけるバリオン効果を取り入れた有効ポテンシャルの導出、相図に対して有限結合定数が果たす役割、有限温度における中間子質量などについて研究を進め、それぞれにおいて現実の世界の定性的記述が有望であることを示した。 (2) カイラル対称性をもつ相対論的平均場理論(Chiral RMF) SC-LQCDに基づくChiral RMFは、QCDから実際の原子核を記述する橋渡しの役割を果たす。今年度は、フレーバーSU(2)Chiral RMFを提案し、これをSU(3)へ拡張することにより、核物質・有限核を定量的にもよく記述できる枠組みが得られた。 (3) ハイペロンを取り入れた超新星物質状態方程式とブラックホール形成 ハイペロンは中性子星のコアでは標準核物質密度の2-3倍程度の密度で現れると考えられており、超新星での役割にも興味が持たれている。今年度はハイペロンを取り入れた超新星物質状態方程式を構築・公開した。超新星の初期段階ではハイペロンは大きな役割を果たさないが、ブラックホール形成時には豊富に生成され、ニュートリノ放出継続時間を短くする効果をもつとが分かった。
|