本研究では、将来の素粒子実験分野での実用の観点から、放射線損傷に対して高い耐性を持つと考えられているワイドギャップ窒化物半導体を用いた放射線検出器開発を行った。代表的な窒化物半導体であるGaN、AlGaNおよびInGaN材料を用いて、検出器の基本素子となるダイオードを作製し、その性能を評価した。その結果、ワイドギャップ半導体の特徴である高温での安定動作が確認された。さらにGaN ダイオードにおいて重荷電粒子の検出に成功した。また、素子に陽子線を入射して放射線耐性を調査したところ、10^16p/cm^2程度の高フルエンスに対しても、極端な性能劣化は見られず、同材料の高放射線耐性が実証された。
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