研究概要 |
今年度の研究は,以下のことに関して重点的に行った. ・非可換超対称空間上の微分代数の解析をホップ代数の変形の方法と比較を行いながら調べるとともに,より一般的な非可換空間への拡張を行う. ・弦理論の中に,非可換幾何学で見られるような変形されたホップ代数の構造があることを示す. 今年度の研究の結果,特に2番目の問題に関して弦理論の中のホップ代数の構造の理解に進歩があった.その結果,弦理論の量子化そのものが,我々の構成した弦理論中のホップ代数の変形と関係していることが分かってきた.ホップ代数の変形が加群の積の構造を変えることが知られている.今の場合加群は,弦の頂点作用素などの作る代数であるが,弦理論で考えているホップ代数の変形の影響を調べると,変形を引き起こす代数の元(捩れの作用素)が,弦の量子化自身も記述することが分かってきた.これは,いわゆる弦理論においてB場の影響で非可換空間上のゲージ理論が現れる時の構造とは異なる. これらの結果は,昨年のトリエステおよびウィーンの国際会議において発表した.さらに,変形に伴う一般座標変換の作るホップ代数の捩れに関する結果をまとめて現在論文を執筆中である。
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