研究概要 |
原子核の低エネルギー現象の統一的記述を日指し,以下の研究を行った。 1.半現実的核子間有効相互作用の改良 対相関の取扱いを改善した上で,半現実的核子間相互作用のパラメータを修正した。これにより,半現実的核子間相互作用を用いたfully self-consistentなHartree-Fock-Bogolyubov近似に基づく核構造の研究が可能になった。 2.乱雑位相近似の新たな計算手法の開発 乱雑位相近似は,核子間有効相互作用から原子核の低励起状態を記述するのに適している。ガウス関数展開法を乱雑位相近似に応用することにより,現実的な有限レンジ相互作用を使って安定核だけでなく不安定核の励起状態をも十分な精度で扱う数値計算法を開発し,その有効性を確認した。 3.半現実的核子間有効相互作用による不安定核の殻構造の研究 半現実的核子間有効相互作用を用いた平均場計算により中質量不安定核の殻構造を調べ,パイ中間子交換に起因する相互作用,及び緩い束縛が殻構造変化をもたらすことを具体的に示した。 4.半現実的核子間有効相互作用によるM1励起の研究 乱雑位相近似の下で,半現実的核子間有効相互作用を用いてPb208等のM1励起について調べ,最近の精密実験の結果との比較を行った。 5.多体相関をfullに取り入れた核準位密度の計算 希土類領域の変形核に対し,殻模型モンテカルロ法による核準位密度の計算を実行し,球形・変形転移を再現できることを示した。
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