研究概要 |
本研究の目的は、超対称性の破れと無矛盾なLeptogenesisの模型を構築し、それにより超対称性の破れの機構に制約を与えることにある。Leptogenesisで現在の宇宙の物質数を説明するためには宇宙の温度が約10^{9}GeV以上高くてはならない。このように宇宙初期の温度が高いと、グラビチーノが大量に作られる。もし、グラビチーノの質量が100GeV-10TeVであれば、グラビチーノは元素合成の時期かその後にクォークやレプトンに崩壊する。その崩壊により元素合成で作られた軽元素が壊されてしまう。このようにして、グラビチーノの質量に強い制限が与えられる。現在のところ許されるグラビチーノの質量は、16eV以下、1GeV-10GeV,100TeV以上の3つの領域のみである。 19年度は、インフラトンの崩壊におけるグラビチーノの生成を研究した。インフラトンが超重力理論におけるアノーマリーを通じて超対称性を破るセクターのゲージー場に必ず崩壊することを発見した。この崩壊で生じたゲージー場は我々のセクターの粒子に崩壊するが、その崩壊に伴い多くのグラビチーノを生成する。そのため、超対称性を破る模型にきわめて強い制限を与える。その結果、やはり許されるグラビチーノの質量は、16eV以下、1GeV-10GeV,100TeV以上の3つの領域のみであることが分かった。上記のアノーマリーを通じたインフラトンの崩壊はケーラーポテンシャルのパラメーター間の微調整をしない限り避けることが出来ないためにきわめて重要な崩壊である。この崩壊は本研究により世界で初めて発見された。
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