本年度はPAMELAで発見された宇宙線の陽電子の異常なフラックスを説明する模型の構築を行った。我々はまず、崩壊するDark Matterを考えて、その寿命を説明する模型としてHidden sectorのgauge bosonを提案した。このHidden gauge bosonはB-L gauge bosonを媒介にしてquarkやleptonに崩壊する。極めて興味深いことに、このB-L gauge bosonの質量がGUT scaleであれば、上記の宇宙線の陽電子のフラックスを自然に説明できることが分かった。これは、本研究が世界に先駆けて発見したもので、その後に多くの研究者により確認されることになった。また、上記のDark Matterの模型以外に、超対称性の破れを我々の世界に伝えるmessengerがcomposite粒子である場合の模型も、上記の異常な宇宙線の陽電子のフラックスを説明できることを本研究で示した。この研究は世界でも唯一のものとして知られている。上記の研究は、すべてDark Matterが崩壊するという仮定に基づいている。本研究では、Dark Matterの対消滅により上記の異常現象を説明する方法をも研究した。従来の対消滅ではその確率が小さすぎて、上記の異常現象を説明できないことが知られている。本研究ではDark Matterの対消滅がs-channel poleを通じて起きればPAMELAで発見された宇宙線陽電子のフラックスを説明できることを示した。
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