研究課題
第31回宇宙線国際会議(ポーランド)等に参加するなど、「超高エネルギーガンマ線天文学の全貌」の考察のために、海外の研究協力者との共同研究を続行した。超高エネルギーガンマ線源の検出方法についての考察を、銀河系内の広がりを持ったガンマ線源について行った。オーストラリアに於いてこれまで行ってきた観測(CANGAROOプロジェクト)によって発見された超高エネルギーガンマ線源の信号に関して、後続のグループによる観測結果が信号を確認できない、あるいは強度等について無視できない大きな食い違いのある結果が報告・指摘される状況があった。超高エネルギーガンマ線の観測を実験的に推進するための懸案となっていたこの問題を、そのような事例の一つ、ガンマ線パルサー星雲PSR B1706-44について、原因の究明を行った。すなわち、最近の観測データをさまざまな方法で解析すること、その解析処方の違いと超高エネルギーガンマ線の放射メカニズムとの関連等について一般的な考察を加えた。銀河円盤内に閉じ込められた宇宙線が拡散ガンマ線を放射することはよく知られているが、宇宙線の加速源すなわち超高エネルギーガンマ線源の近傍に於いては、源からのガンマ線とその周囲に漏れだした超高エネルギー宇宙線の幾何学的関係はさまざまのバライエティに富んでいる可能性があり、観測結果に与える影響を考察した。その結果、(1)宇宙線粒子による雑音を補正するためにガンマ線放射による事象を含まないと仮定されるデータセットが銀河円盤内宇宙線による拡散ガンマ線を含んでいる可能性があること、(2)拡散ガンマ線の影響を受けて、点状の源からの超高エネルギーガンマ線の見かけ上の位置、および(3)広がりの角度あるいはガンマ線強度の観測値が変化すること、したがって、(4)これらの効果が、雑音を評価するためのデータ解析の方法および使用される望遠鏡の性能に依存しているとの結論を得た。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
Astrophysical Journal 703
ページ: 1725-1733
Proceedings of 31^<st> International Cosmic Ray Conference (Lodz, Poland)
ページ: 1-4