超高エネルギーガンマ線の観測に関する今後の研究の発展方向を探るために 11月にドイツで開催された赤外線背景放射についてのワークショップ、12月の名古屋での最高エネルギー宇宙線に関する国際シンポジウム等に参加し、「超高エネルギーガンマ線天文学の全貌」を把握するために、海外の研究協力者との共同研究を続行しつつ、超高エネルギーガンマ線天文学と周辺領域との関係を探った。 すなわち (1)超高エネルギーガンマ線が宇宙空間を伝播する過程に於いて背景放射の電磁波と衝突して起きるガンマ線の吸収、赤外線背景放射強度とガンマ線強度との関係、その結果放出される電子陽電子が引き起こす異常な効果などについて (2)現在の時点で観測されている最高エネルギー領域の宇宙線の観測結果を、宇宙線が2.7Kの背景放射のマイクロ波と衝突することにより生じるエネルギースペクトルのいわゆるGZK切断の効果との関連性について考察を行った。 (1)は、暗黒物質の検証や極めて高いエネルギー領域でのロレンツ変換不変性の破れなど、素粒子相互作用について起されている「基本的な諸課題」に関係しており、ガンマ線天文学と素粒子物理学の今後の関係を予想するために重要である。 (2)は現在、主として10の12乗電子ボルト程度以下のエネルギー領域で行われている超高エネルギーガンマ線天文学をさらに高い10の13-15乗領域、さらには最高エネルギー領域宇宙線の10の19-20乗領域の宇宙線現象を理解するために必要となっている。今年度におけるこれらの考察の結果を、超高エネルギーガンマ線の観測による超高エネルギー現象の理解を、銀河全体の構造、生成と進化との関わり方を視点としつつ、今後さらに発展させていく予定である。
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