| 研究概要 |
実際の宇宙の観測において,観測データとしての天体までの距離は,赤方偏移と見かけの明るさの関係として得られ,その関係を通じてフリードマン宇宙モデルのパラメーターが決定される.しかしながら,非一様宇宙で同じ観測を行ったとしても,赤方偏移と見かけの明るさの関係は,観測者の場所や観測する方向に依存して変化し,そのままでは宇宙全体に対する情報を抽出することができない.
そこで非一様宇宙における距離の概念を正確に把握する目的で,非一様球対称厳密解であるTolman-Bondi時空における光度距離を観測者からのredshiftの関数として一般的な級数展開の形で求めた.これまでも類似の研究は存在したが,それらは限定された場合の解析であった.我々はTolman-Bondi解の持つ最も一般的な任意関数の自由度を含んだ形で,光度距離の展開形を得る事に成功した.得られた表式を用いて,宇宙の曲率や物質の密度揺らぎの存在により,光度距離がどのような影響を受けるかを議論した.
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