研究概要 |
低エネルギーニュートリノ反応を蓄積するために、既に2005年にビームラインに設置を完了している我々の実験装置(通称PEANUT検出器)に低エネルギーニュートリノ反応および電子ニュートリノ成分の分析の為に適したターゲット構造を持つECCターゲット(通称ブリック)を合計で36個を設置した。ターゲット構造は低エネルギーニュートリノ反応によって生成される低エネルギーハドロンシャワートラックを効率的に再構成する為に、0.5mm厚のステンレス板をパッシブターゲットとし、合計で2カスケード長を原子核乾板フィルムと共に積層し、電子ニュートリノの荷電カレント反応により生成される電子を識別する為に、ターゲット領域に引き続き3カスケード長分の1mm厚の鉛板と原子核乾板フィルムとを積層したアナライザー領域を持つECC構造をとっている。2007年6月から照射を開始し、サマーシャットダウンを挟んで再度10月から照射を継続した。2008年2月には一部のターゲットを取り出し、解析を開始する為に、イタリアのグランサッソ研究所へ送り現像を行なっている。 今回の照射により全ECCターゲットには約5,000ニュートリノ反応が蓄積されていると期待される。解析は原子核乾板フィルムの全面読み出しを行い、オフラインで再構成してDONUT実験で用いたようなNETSCAN法によって執り行う。
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