CHORUS実験の標的乾板中の飛跡は主にビームライン上流での他の実験によるμ粒子及び地上実験であるがための宇宙線の蓄積である。解析すべき肝心のニュートリノ反応からの2次粒子は蓄積された飛跡の0.1%でしかない。ニュートリノ反応からの飛跡は標的乾板モジュール中から発生して下流につき抜ける。一方上流からのビームμ、及び宇宙線は標的乾板モジュールの最上流から最下流までを完全に突き抜ける。この違いを利用してスキャンに掛かる労力を減らす。つまりモジュールの最上流と最下流の2枚のみを全面スキャンし、この2枚でつながる飛跡は解析対象外する。ここでの選別の良し悪しがその後のスキャンの負荷を左右する。そこで検出効率を可能な限りあげるR&Dを行った。また一般に検出効率を上げようとするとランダムに蓄積される自然放射能(ベータ線飛跡)、及びランダムなノイズによるフェイク飛跡を見つける割合が多くなる。見つかった飛跡の角度、場所及び飛跡の濃さを使い十分にバックグランドを落として高い検出効率(約98%)で検出できる条件を確立した。反応解析すべき飛跡の選び出しが出来た段階まで来たが反応点、崩壊点解析はやり残してしまい、当該年度で終了する事はできなかった。もう少し時間が掛かるがバイアスなしでチャーム粒子の検出をきっちりやりきる予定である。
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