ガンマ線バースト(GRB)には最大光度(Lp)とスペクトルピークエネルギー(Ep)に関係(世界的に米徳関係式と呼ばれている)があることが共同研究者である金沢大学の米徳助教と中村らが2003年に発見した。この米徳関係式を距離指標として用いることでガンマ線バーストを標準光源にすることでIa型超新星の観測できない赤方偏移が2以上の遠方の宇宙の距離を決定してやることでダークエネルギーの状態方程式の時間変化に対して厳しい制限がつけらることを示した。 また米徳関係式とは独立に放射が等方を仮定したガンマ線での全放射エネルギー(Eiso)とEpにも関係(Amati関係式と呼ばれている)があることもすでに見つかっている。これらの関係式は全放射エネルギーと最大光度の違いはあるものの、同じEpをパラメータとしており、従来似たようなものであると思われていた。しかし、院生の筒井らと共にガンマ線バーストのように激しい時間変化をして、個性の豊かな変動をしているような現象ではこのような経験則では、EisoとLpの二つのは独立なパラメータとして扱えること、そしてTL=Eiso/Lpとして新しいパラメータを米徳関係式に入れることでガンマ線バーストのFundamental planeとも言える関係式が構築できることを示した。この新しい関係式は米徳関係式やAmati関係式に比べて半分以下の分散を持っており、この関係式を距離指標として用いることで宇宙論パラメータへの制限は大幅に改善される。 このような関係式は宇宙論への応用のみならず、GRBの放射機構モデルへの試金石ともなるため、本研究課題であるガンマ線バースト統一理論の構築への重要な一歩と言えるであろう。
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