ガンマ線バースト(以後GRBと略記)では、スペクトルはBand関数というBroken Power Lawが良く成り立っている。この非熱的な放射のピークエネルギーEpと1秒をbinに採った光度Lpに米徳関係式(Lp∝Ep^2)が成立することが、知られている。この関係式の理論的な説明はついていないが、GRBの統一理論はこの関係式を自然に満たす必要がある。しかし、米徳関係式の進化効果と選択効果は調べられていなかった。そこで、2009年末までに赤方偏移の測られたGRB 200ケ中、スペクトルが精度良く決定された101を(1)明るさの異なる3つのグループと(2)赤方偏移の異なる3つのグループに分けて、それぞれのグループ内で、米徳関係式を求めた。その結果、(1)に関してはどのグループでも1σの範囲内で、同じ関係式になる。また(2)に関しては、進化効果が見えるがそれは2σレベルであることが分かった。この進化効果の原因は、Lpを決める時に観測者系で1秒にしているが、実際にはGRBの静止系では赤方偏移に応じて1秒より短い時間になっているためと考えられる。というのも、一般にGRBは激しく時間変動しており、短い時間間隔を考えるほどLpが大きくなるからである。つまり、GRB静止系での時間を一定にして、Lpを測るなら、進化効果がないと予想できた。そこで、次にLpを決めるのにGRB静止系を用いるだけでなくEpが10%の精度で決まっているプラチナデータに絞ると、GRBの数は減るがreduced xが1.3の精度の良い米徳関係式を求めることに成功した。今後はこの精度良い関係式を満たすGRBの統一理論を作るのが課題である。
|