20年度は京大原子炉の燃料変更に伴う許認可作業が完了し運転再開の見込みであったが、燃料作成及び手続きに時間を要し、21年度半ばまで運転再開が遅れる事になった。運転再開が遅れた際の代替手段としていたCd-111(←In-111)をプローブとした実験では、プローブ導入の際の加熱の影響と損傷効果が競合することがわかり、プローブ核をビームにして力学的に注入する必要性が判明した。そこで、Cd-111(←In-111)に代わるビーム注入可能な摂動角相関用プローブ核の開発を行った。19年度後半から東北大学サイクロトロンRIセンターのRF-IGISOLで強力なRIビームが得られるようになったため、RF-IGISOLからプローブ核を得るための実験を行った。摂動角相関プローブ核の満たすべき要件は、1)内部磁場測定に十分な精度で磁気モーメントが判っている事、2)磁場測定を行える寿命(ns以上)を持つ事、3)強力かつエネルギー及びビームスポットの広がりの少ないビームとして取り出せる事である。そのようなプローブ核の候補として選んだRh-109の226keV準位、及びI-132の49.7keV準位についてビーム取り出しと磁気モーメント測定に成功した。また、原子炉再稼働が再び遅れた場合を想定し代替中性子源の検討を行ってきた。その結果21年度前半に東北大サイクロの中性子照射施設からでる質のよい単色高速中性子でのNEOMAXへの中性子照射と減磁効果測定を行う事が認められ、その準備を進めた。原子炉実験所でも21年度後半に原子炉の稼働が始まるため、測定系の整備を引き続き行った。19年度に開発した測定系には高カウントレートでの測定時に問題があることが判明したため、高カウントレート対応のためのソフトウェア系の整備改良を続けた。
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