海外の治安情勢等の問題で燃料輸送が遅れて原子炉実験所の研究炉の21年度内の運転再開が出来ず、KUR-ISOLによるプローブ注入が出来なくなった。運転再開が遅れた際の代替手段の^<111>Cd(←^<111>In)も、19~20年度の研究で導入の際の加熱の影響と損傷効果が競合することが判明していて使えないことから、本年度も代替プローブの開発を進めた。20年度末に測定に成功した^<132>Iの49.7keV準位の半減期及び磁気モーメントの解析・決定を進めた。その結果、^<132>Iの寿命は内部場測定には短すぎることがわかった。しかし、50年近く混乱が続いていた^<132>Iの49.7keV準位の半減期の値の混乱に決着をつけ、精度よく磁気モーメントが決定されたことで核構造の理解が進んだ。この結果はPhysical Review Cに掲載された。他の代替プローブ核候補として^<130>Teの6^+準位および^<165>Hoの3/2^+準位を選び、それらの磁気モーメント測定をすすめた。^<130>Teは東北大IGISOLで十分な生成量が得られる事が確認できたが、東北大IGISOLが耐震工事のため21年度後半で開発が一時中断となった。^<165>Hoについては京大炉のライナックからの中性子を利用して測定を進め、本年度末に磁気モーメントの測定に成功した。^<165>Hoの親核である^<165>DyはNEOMAXに含まれるDyの中性子による放射化で得られるため、今後NEOMAXの磁性に関する研究に大いに貢献すると期待される。並行して東北大の中性子ビームラインで数十MeVの高速中性子での減磁効果測定を始めた。京大炉のライナックでも熱外領域で同様の実験を進めており、これらの集積によって中性子エネルギーや照射量と減磁の相関、その際の内部の磁気的構造や電子構造の変化をプローブ核で探るための基礎データを集めた。
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