研究課題/領域番号 |
19540296
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永井 泰樹 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (80028240)
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研究分担者 |
嶋 達志 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (10222035)
大島 真澄 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主席 (40354815)
原田 秀郎 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (80421460)
瀬川 麻里子 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (00435603)
梶野 敏貴 東京国立天文台, 理論研究部, 助教授 (20169444)
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キーワード | 金属欠乏星 / r-過程元素合成 / s-過程元素合成 / 中性子捕獲反応 / 恒星内温度 / 宇宙核時計 / 粒子・孔状態 / ベータ崩壊 |
研究概要 |
187Re-187Os対は銀河宇宙の歴史を探る上で優れた宇宙核時計の1つと考えられている。Re核が恒星内でr-過程でのみ合成される事、それが423億年の長寿命を有する事、ReとOsが地球科学的性質が似ており恒星内で合成され隕石となって観測されるまでに両者同じ振舞いをする事が大きな特徴である。しかし下記問題点がある。187OsはReの崩壊で生成されるだけではなく、186Os及び187Osの基底状態そして(恒星内で可能な)第一励起状態のs-過程による中性子捕獲反応で生成及び消耗される。そこでこのs-過程による影響を知り187Reのベータ崩壊による成分のみを求め事が重要である。そのため186,187,189Osの3核種について恒星内温度に相当するkeVエネルギーで中性子捕獲反応断面積を,更に187Osは第一励起状態への非弾性散乱断面積を測定した。そして、上記影響を理論計算と合わせて精度良く補正する事ができRe-Os核時計の核物理上の問題点を解決できた。次に金属欠乏星でのs-過程元素合成に重要な影響を与える18Oの熱中性子捕獲反応断面積の測定を行った。その結果、初めてこの反応の部分断面積を求める事に成功すると共に、18O基底状態の2粒子4孔状態(全状態の10%未満の成分)が反応に大きく寄与している事を明らかにすると共に、19Oの閾値近傍の3/2(-)状態が1粒子4孔状態である事を明らかにした。この状態は20年前に1粒子4孔状態と理論的に予言されていたのを初めて証明した。又上記過程は今までに無かった初めての現象であり興味深い発見である。
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