研究課題/領域番号 |
19540297
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (10259872)
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研究分担者 |
中野 貴志 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80212091)
土岐 博 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (70163962)
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キーワード | マルチクォーク状態 / QCD和則 / カイラルユニタリ模型 / 電磁崩壊 / バリオンのカイラル表現 |
研究概要 |
(1)φ中間子の光生成 φ中間子の光生成のエネルギー依存性に、閾近傍で特異なピーク的な振る舞いが見られる。我々は同じエネルギー領域にあるΛ(1520)とのチャンネル結合を導入し、閾効果、終状対相互作用の効果を検討した。K行列の方法によって相互作用の全次数まで取り込んだT行列を構成しいろいろな断面積を計算した。その結果チャンネル結合の効果は小さいことが判明した。この結果はまもなく論文に執筆の予定。 (2)テトラクォーク構造を持ったエキゾチック中間子 qq*で到達できないJPC=1-+の量子数を持った中間子をテトラクォークで構成し、QCD和則の解析によってその質量を調べた。観測されている状態の内、重い状態π1(1600)の質量をほぼ説明できた。一方軽い方のπ1(1400)はテトラクォークでは再現できず、ハイブリッド状態である可能性を指摘することが出来た。 (3)バリオンのカイラル対称性 バリオンをカイラル群の既約表現に分類することによってその内部構造に関する情報を得ることが出来る。そこで3クォーク状態を仮定し、フレーバーSU(3)のカイラル表現を完全に分類し、その結果代数的に予言できる物理量として軸性結合と磁気能率係数を計算した。 (4)軸性ベクトル中間子の分子構造 カイラル理論によると、いくつかの励起ハドロンは基底状態ハドロンの複合系として分子的な構造を持つことが示唆されている。その一つとして、軸性ベクトル中間子であるa1,b1中間子をπρの複合系として扱い、その電磁崩壊を調べた。質量が良く再現できるにもかかわらず電磁崩壊には大きな不定性が残り、さらに構造の詳細を調べる必要があることを指摘した。今後は複合系としての状態と理論の対称性との整合性を調べる予定。
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