研究概要 |
液体シンチレータの発光量およびその波形測定用に、内径125mmで長さ100mmの円筒形の容器(筒の入り口は紫外線透過型アクリルを使用)を製作した。それに、5インチ光電子増倍管(電圧分割器付、浜松ホトニクス製H6527)を装着した。原子炉ニュートリノの反応の検出は、反ν_e+p→e^++nの反応を起こさせ、その次に起こるe^++e^-→γ+γ(即時信号)とn+Gd→Gd^*→Gd+γ+γ+…(遅延信号)を捉えることで行う。そのバックグラウンドとなる反応は、外部から入射した高速中性子の高速n+静止p→減速n+反跳pの反応を即時信号と間違うことにより起こる。それを除去するために、γ由来の信号波形とnによる反跳p由来の信号波形との弁別可能性を調べた。放射線ソースとして252Cf(放出放射線はγ(<1MeV)80%,n(〜2MeV)20%)を使用し、信号取得のゲート幅を変えて測定した。液体シンチレータとして、BC501-Aと、高速原子炉(常陽)ニュートリノ測定に使用した常陽タイプ液体シンチレータの2種類を使用した。その結果、BC501-Aの場合、明らかにγ由来とnによる反跳p由来の信号波形が異なり、弁別が可能であることが分かった。常陽タイプ液体シンチレータの場合は、BC501-Aのような明らかな差はないが、やはりγ由来とnによる反跳p由来の信号波形に異なる部分が見られ、弁別の可能性がある。原子炉ニュートリノ振動実験DCHOOZで使用するGd入り液体シンチレータの構成はほぼ決まり、80%C_<12>H_<26>+20%PXE+0.1%Gd+PPO+Bis-MSBの微調整を行っている段階である。これについて、γ由来とnによる反跳p由来の信号波形弁別を試みる。
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