研究概要 |
本研究で取り扱っているEBCCD(Electron Bombardment EBCCD,電子打ち込み式CCD)は、電子収束により大口径化(光電面直径10cm)を実現したもので、これまではここまで大口径のものの製作はなかった。このEBCCDは、同様の光検出器であるIIT(Image Intensifier Tube)より優れた入出力間の線形性と大口径化により、今後の幅広い応用が期待される光検出器である。 昨年度までに、主な基本的性能の測定と、粒子検出器への応用としてプラスチックシンチレーティングファイバー検出器を通過する宇宙線の測定を行ったが、今年度は、プラスチックシンチレーターの塊を通過する粒子線(宇宙線や放射線源からの放射線)を3次元的に測定できるかどうかを試みた。宇宙線測定の結果、精度は悪いがある程度の3次元的飛跡再構成ができることがわかった。 さらに、EBCCDとプラスチックシンチレータブロック、または、シンチレーティングファイバーブロックの組み合わせで中性子検出を試みた。これができれば、X線ではできないが中性子では検査可能な材料のイメージングができる。すなわち、中性子による非破壊検査も可能となってくる。現段階のEBCCDにはゲート機能はなく、このままでは通常の粒子検出器としては不十分であるが、イメージングだけならゲート機能は特に必要とされない。中性子線源^<252>Cfを用いて実験を行った結果、残念ながら今回は中性子強度が足りないため検出可能かどうかの結論に達するに至らず、より強い中性子源による実験が必要であることがわかった。
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