標準的なクラウンエーテル樹脂による固液抽出法では、分離係数が約1桁減及び樹脂への吸着量が少で高濃度塩酸も吸着のためには必須等の問題点が判明し、さらに大量精製のためには非現実的なkm超の樹脂カラム要でカラム長に応じた濃縮率も期待値には及ばず、反応率及び反応速度で利点のあり、かつ安価でビル規模のプラントを下駄箱サイズにダウンサイズししかも生産能力は大型プラントをしのぐマクロでは実現出来ないマイクロ化学チップによるクラウンエーテルを直接用いる液液抽出2液層流マイクロリアクター装置の重要性がよりクローズアップされる状況となった。 昨年度判明し新たに組み込んだカルシウム濃度の分配係数のイオンメーター及びICP原子発光(吸光)による正確な濃度測定及び2液層流システムの安定送液のためのフィルター・クリーンベンチ&ポンプ・チップ間液間圧力センサーの導入に加え、本年はカルシウム濃度分配係数及び分離係数の実験条件の依存性、特に反応平衡時の温度依存性測定のためバッチ法及びマイクロリアクター法共に低温(〜マイナス30度)から常温までの温度制御可能なコントロール系を導入し、最適条件の確認のため実験をスタートした。 特に測定法により結果に差異がみられた濃度測定において、既知量の標準添加により回収率補正を行い、また保存容器への元素吸着による分析値の低下を防ぐため試料に微量の酸を加える等、マトリックス中の有機物含有量の影響を排除する様々なノウハウを得、懸念であった正確な濃度測定が数%で可能となり、工程のルーチン化に大きく前進した。
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