研究課題
基盤研究(C)
振動実験でニュートリノの種の間に質量差があることが確実になった今、ニュートリノの質量の絶対値及びマヨラナ性を検証できる唯一の2重ベータ崩壊は最も重要な研究に位置づけられており、世界中で研究が進められている。現在濃縮(86%)された^<76>Geを用いる研究(HDM実験:ハイデルベルグ・モスクワグループ)が世界最高感度の測定を達成しており、次世代も含めて世界の研究は^<76>Geを軸に進められている。しかし、そのQ値の低さ(2.04MeV)故、すでに自然および人工放射性バックグランド(BG)が限界を決め始めている。我々は^<48>Caで世界を追い越すためにCaF_2結晶からなるCANDLES計画を立ち上げ、昨年度より東大神岡地下観測所でCaF_2結晶約300kgの実験装置を建設中で近く測定を開始する。^<48>Caは2重ベータ崩壊核の中で最大のQ値(4.27MeV)を持ち、BGの最も少ない測定が可能で、今後有望な原子核である。今まで世界の研究の中心になってこなかった理由はひとえに自然存在比が少ない(0.187%)ために大量の原子核を用意し難い点で、本研究は、更に質量を一桁スケールアップして0.1eV以下領域を探索する検出器製作に於いて画期的な感度向上をもたらす標的同位体元素(^<48>Ca)の安価で大量な濃縮方法の確立を目的とする。
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