研究概要 |
1,未同定高エネルギー天体TeVJ2032+4130を観測対象に、野辺山45m電波望遠鏡を用いて分子雲観測を行った。高エネルギー放射領域を中心に周辺を12CO(J=1-0)輝線で探索した結果、近傍小型の分子雲を発見した。放射機構およびパラメーターとして標準の解釈は難しいため、X線観測の結果と共に計算を行っており、論文の準備中である。 22、超新星残骸RCW86の高エネルギー放射機構を調べるため、周辺分子雲の観測を行った。シェル型リムを持つこの超新星残骸では、リム中の非熱的/熱的X線放射分布が異なった構造を持つ。超新星爆発の膨張波と周辺物質の相互作用が、そのような局所的な構造の原因であるとの仮説を元に、国立天文台ASTE電波望遠鏡(12CO J-3-2輝線)、およびオーストラリアMOPRA電波望遠鏡(12CO,13COJ=1-0)の観測を行った。複数輝線による観測結果の比較から、物質密度、opacityの分布を整理し、これまで観測されたX線、電波連続波分布と超新星残骸との相関を発見すると共に、超新星進化のシナリオについて推論を展開することができた。結果は天文学会で発表され、現在、論文の執筆中である。 3、パルサーと大型星(スペクトル型はBe)の連星系、PSR1259-63/SS2883に対し、大型星ディスク構造のシミュレーションを基礎にした新しいモデルの開発に参加した。周期的な光度変化を行う、特殊な高エネルギー天体のカテゴリーであり、多波長での詳細な変化をシミュレーションを使ったアプローチで解明することを目的としている。計算の枠組み作成が進行し、国際会議、天文学会での発表を行った。シミュレーションから広域放射スペクトルの変化を調べることができることが分かり、今後はパルサー側のプラズマ流も取り込んだシミュレーションを行う予定である。また、連星周期位相で、大型星のディスクがどのように変動するかが、このモデルの鍵になっており、光学、UV、赤外の観測を準備している。 44、オーストラリアの高エネルギーガンマ線観測施設、CANGAROOに設置した小型の光学望遠鏡、CARROTSを整備し、強度変
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