研究課題/領域番号 |
19540313
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
丸山 敏毅 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (50354882)
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研究分担者 |
千葉 敏 独立行政法人 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (60354883)
巽 敏隆 京都大学, 理学研究科, 助教 (40155099)
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キーワード | 原子核物質 / 非一様構造 / 混合相 / ハイペロン / クォーク / 状態方程式 / K中間子凝縮 / 有限温度 |
研究概要 |
超新星爆発の前段階や、生成直後の原始中性子星を構成する有限温度の原子核物質の性質について調べた。 まず、標準原子核密度以下の低密度物質の性質に関しては、状態方程式を様々な陽子含有率に関して調べた。その中で特に興味深いのは、通常では圧力の上昇と共に気相-混合相-液相と変化するのに対し、低い陽子含有率で有限サイズ効果を無視した場合、気相-混合相-気相と変化するいわゆる逆行転移が起こる可能性があることがわかった。しかしパスタ構造まで考慮した場合、混合相の現れる領域は、有限サイズ効果を考慮しない場合の混合相の領域に比べ、密度・温度共に狭くなる事が分かった。従って逆行転移は現実的な低密度核物質では起こらない可能性が高いと思われる。 次に、有限温度でのハドロン-クォークの混合相の性質と構造について調べた。ゼロ温度と異なり有限温度では低密度でもハドロン相にハイペロンが混じること、その結果クーロンエネルギーが小さくなり、混合相のパスタ構造のサイズが大きくなる事が分かった。ゼロ温度ではハドロン-クォークの混合相ではハイペロンの混合がほぼ完全に抑制されたが、有限温度でもハイペロン混合率はある程度抑制される事が分かった。 多重K中間子原子核に関しては、K中間子数が増加するとカイラル対称性を考慮した相互作用から来る斥力項が働き、系の結合エネルギーを小さくする事が明らかになったが、その際、K中間子の1粒子状態の最低エネルギーが上昇しΛ(1405)との共鳴領域に入り、Λ空孔状態と強くカップルする可能性がある。そこでΛ(1405)とのカップリングを考慮した上で、多重K中間子原子核の構造を調べた結果、アイソスピンがゼロのチャンネルであるK中間子-陽子間の引力が増大すること、そのために原子核の中心付近における密度が顕著に増加することなどが分かった。
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