アトラスTGC測定器用に既に開発し実用化しているコントローラモジュール及びインターフェースモジュールが、この開発研究の出発点となる。このモジュールを如何に改良し汎用のVMEコントローラシステムへと持って行くかが最大の課題である。素粒子原子核実験に限らず加速器制御等に段係する人たちからも広く意見を伺いニーズの集約を行った。これを基に、VMEコントローラモジュールの仕様をほぼ確定することが出来た。インターフェースモジュールとしては、市販のPCに直接実装できることを考え、PCIと呼ばれる標準規格のボードとしたい。また、VMEコントローラモジュール本体は、VME64xと呼ばれる標準規格を用い、そのボードサイズも最も一般的な6Uとした。必要なファンクションとしては、通常のデータ転送に加え、割り込み処理が可能である必要がある。高速転送を可能にするブロック転送モードに関しては、技術的な問題もあり今後の検討課題である。耐放射線性に関したは、1kGy以上を目標に進める。磁場環境下での使用に関しては、コイルなどの磁気を用いた回路部品の使用を出来るだけ排除し、1000ガウス以上の環境下でも動作可能なモジュールとしたい。この様な仕様を基に、システムの概念設計を開始した。 また、国際会議やCERN研究所などを訪問し、対放射線性を有する回路部品素子の情報の収集や対放射線を考えた回路設計様式についての意見交換を行った。更には、使用候補となる幾つかの集積回路についてガンマ線照射試験を行い、1kGyという目標値は何とかクリアしそうなことが分かった。
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