アトラスTGC測定器用に開発し既に実用化しているコントローラモジュール及びインターフェースモジュールが、この開発研究の出発点である。このモジュールを如何に改良し汎用のVMEコントローラシステムへと持っていくかが最大の課題である。素粒子原子核実験や加速器制御に関係する人たちから幅広く意見を伺い、その結果として概念設計を終了することができた。インターフェースモジュールとしては、PCI規格を採用した。今年度はPCI規格の評価ボードを購入し回路開発及びオンラインソフトウエアの開発に着手した。VMEコントローラとしては、ブロック転送は必ずしも必要ではなく、むしろホストコンピュータPCへの割り込み処理のほうが有用なファンクションとの結論に達した。PCIバスとしてこのような割り込みを行うためのインターフェース及びオンラインソフトウエアの開発とその検証を行っている。また、耐放射線性に関しては1kGy(100krad)を目標に据え、そのための回路部品の被ばく試験なども行った。また、新しい部品や耐放射線用回路設計技術などについても、国際会議などを通して議論を行い有用な情報を得ることができた。これまでの放射線試験や得られた知識をもとにVMEコントローラモジュールの部品選定はほぼ終了した。部品選定においては1000ガウス程度の磁場環境下でも動作可能なものを選んだ。合わせて、最終版の回路設計を開始した。 日本物理学会に於いてこれらの結果について発表した。
|