アトラスTGC測定器用に開発し既に実用化しているコントローラモジュール及びインターフェースモジュールが、この開発研究の出発点である。このモジュールを如何に改良し汎用のVMEコントローラシステムへと持っていくかが最大の課題である。昨年度までの研究活動を通して、素粒子原子核実験や加速器制御に関係する人々から幅広く意見を伺い、VMEコントローラの仕様をまとめることが出来た。また、耐放射線性に関しては1kGy(100krad)を目標に据え、そのための回路部品の被ばく試験なども行った。また、新しい部品や耐放射線用回路設計技術などについても、国際会議などを通して議論を行い有用な情報を得ることができた。これらの結果をもとに、PCI規格を採用したインターフェースモジュール及びVMEコントローラモジュールの開発・試作製造を行った。試作ボードは平成21年秋には完成し、精力的に内蔵FPGAのロジック回路設計とその検証作業を行った。その結果平成22年冬には、ロジック回路設計が終了し、正常動作検証作業がほぼ完了した。合わせて、本モジュール使用の為のPCIドライバーソフトウエアの開発も行われハードウエア・ソフトウエアともにユーザーに提供できる環境になった。 本VMEコントローラは、耐放射線性に関しては1kGy(100krad)、磁場環境に関しては1000ガウス程度まで動作可能であることが確認された。上述のように本研究の当初の目的が成就された。また日本物理学会に於いてこれらの結果について発表した。今後、雑誌論文への発表を行う予定である。
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