研究課題/領域番号 |
19540321
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
長野 邦浩 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (90391705)
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研究分担者 |
藏重 久弥 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20205181)
山崎 祐 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00311126)
陣内 修 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (50360566)
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キーワード | 素粒子実験 / 新粒子探索 / 標準模型 / トリガー / 国際協力 / LHC / アトラス実験 |
研究概要 |
世界最高エネルギーでの陽子・陽子衝突加速器LHCを用いたATLAS実験では、人類未踏のTeV領域で新粒子を直接に探索することができる。この際、膨大なバックグラウンド事象の中から、新現象を含む重要な事象を逃すことなくオンラインで高速判定してデータ収集することが必須であり、難関の実験技術である。本研究ではATLAS実験における後段トリガーの開発を行い、オンラインでの事象選択に応用することを目的としている。 本年度はミュー粒子を選択するトリガー改良に専念した。実験開始を来年に控え、まず改良の主眼はトリガー頻度を十分に低く抑えて安定に稼動できるかどうかに置いた。物理シミュレーションを用いて予想されるトリガー頻度を評価し、その結果から運動量の低いミュー粒子に対してトリガー効率がゼロとはならずトリガー頻度に対して大きな不定性を与えることが分かった。さらに解析を進あ、原因は磁場が弱い領域が存在することと、トリガー論理の中で反応バーテックスが原点であることを仮定せざるを得ないことに依ると特定した。これらについて内層飛跡検出器で測定された荷電粒子の飛跡と組み合わせることで改善できることが分かり、このマッチングの取り方を現在もさらに改良中である。 次に、性能全般について改良を試みた。検出器の中央から外側よりのエンドキャップ部では磁場が複雑になっているなどのため運動量の測定精度が悪くなっている事が会かり、この点ついて電荷依存性を考慮に入れるなどによって精度を向上させた。さらに、複雑な磁場も正しく考慮に入れ、かつ、高速に飛跡を再構成ずる論理の開発にも着手し、エンドキャップ部での改善を試みている。
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