研究課題/領域番号 |
19540322
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
仁尾 真紀子 独立行政法人理化学研究所, 川合理論物理学研究室, 仁科センター研究員 (80283927)
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研究分担者 |
早川 雅司 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (20270556)
青山 龍美 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (30391840)
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キーワード | 電子 / ミュー粒子 / 異常磁気能率 / 量子電気力学 / 微細構造定数 |
研究概要 |
本研究の目標は、電子とミュー粒子の異常磁気能率への量子電気力学からの寄与、特に摂動計算の10次の項を決定することであった。研究期間最終年度の本年度には、若干の検証をまだ残しているものの、ほぼ計画通り、電子およびミュー粒子の双方について10次の寄与を決定することができた。この結果は、量子電気力学の結合定数である微細構造定数αのより精密な決定や、ミュー粒子異常次期能率の測定からの新物理現象の発見に大きな役割を果たす。 電子の異常磁気能率の摂動10次の項には32のゲージ不変なセットに分類される12672個のファインマン図が寄与することが知られている。このうち、もっとも計算の困難なものは光子5個の補正を含む全6354個のファインマン図のセットである。計算プログラムの自動生成システムを開発したことにより、このセットの数値計算の準備は整ったものの、数値計算を実行する計算機の能力が足らずに満足な精度の結果を得ることができないでいた。ところが2009年秋に理研に新しい計算機システムが導入されたこと、さらに物理的な視点から計算プログラムの大幅な短縮化のプロセスを自動化システムに組み込むこんだことにより、現実的な時間内で精度のよい数値計算が実行できることになった。2009年秋からの一年半の数値計算の継続により、現時点で目標とする精度のほぼ80%g程度まで到達した。 他の31セットはフェルミオンのループを含みこのフェルミオンの種類によってさまざまな質量依存の結果を生じる。これらの比較的小規模だが数の多い計算も随時実行し、結果を得た。
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