自発的ゲージ対称性の破れが重要な役割を果たす例として超伝導や量子ホール効果が知られている。本年度は主に、後者と深く関係する3次元超対称Chern-Simons-matter(CSM)理論から、非相対論的(NR)極限を通じてNR超対称共形場理論を誘導した。NR極限を調べることで、スケール不変性と共形対称性が回復しSchrodinger対称性が出現するが、一般には超対称性は破れること、ゲージ対称性が破れた真空では超対称性は完全に破れること、が分かった。最も超対称性が高いものとして、N=3CSM理論から、8超対称でU(1)xU(1)R対称性をもつNR共形場理論をえた。同様にN=6CSM理論から、14超対称でSU(2)xSU(2)xU(1)R対称性を持つNR共形場理論を誘導した。また、Schrodinger代数が、一つ次元が高い共形代数に部分代数として含まれることから、超対称共形代数から超対称なSchrodinger代数が誘導できることを示し、超対称性の高いSchrodinger代数を得た。この超対称Schrodinger代数の超電荷は、もとの超対称共形代数の超共形電荷の半分以外で与えられる。特にU(1)R対称性を持つ6超対称3次元Schrodinger代数は、物質場と結合したN=2CSM理論の非相対論的極限の対称性と一致することが分かった。 また、自然の現実的な記述では、対称性は自発的に破れると期待される。超対称性の自発的部分的破れを引き起こすゲージ模型の研究の継続として、N=2ADE型quiverゲージ模型を構成し真空構造を考察した。このU(N)ゲージ模型を使って、超対称/非超対称双対性[Aganagic et al'0804]が統一的に理解できることが示された[丸吉'0808]。
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