研究概要 |
ユニタリティー・フェルミ気体の重力理論による記述の可能性に端を発し、近年非相対論的(NR)共形場理論(CFT)が注目されている。昨年度はNR共形対称性であるSchrodinger対称性の超対称化、および超対称なNRCFTを構成した。本年度は、Schrodinger対称性と共にNR共形対称性として知られるガリレイ共形(GC)対称性に注目し、GC対称性が共形対称性の縮約として誘導できることと、(D+1)次元反de Sitter(AdS)対称性とD次元共形対称性が同型であることから、GC対称性が1次元高いNewton-Hooke(NH)string対称性の境界での実現であることを明らかにした。これによりGC対称性を保つ場の配位とAdS空間上のAdS_2弦とのホログラフィーを始めて指摘した。さらにGC対称性の超対称化を行った。また、時間の指数zが2(Schrodinger対称性)や1(GC対称性)に限らない場合の超対称化した「Schrodinger対称性」を1次元高い共形超対称性から誘導した。 最近、重なったM2ブレーン世界面上の低エネルギー有効理論としてN=6 U(N)xU(N) Chern-Simons-matter(CSM)理論(ABJM模型)が提出され、AdS_4xCP^3上のIIA超弦理論(あるいはAdS_4xS^7/Z_k上のM理論)との双対性が期待されている。特にCS項のレベルがk=1,2のとき超対称性がN=8に拡大する。そこでHyeonjoon Shin氏(Sogang大CQUeST)と吉田健太郎氏(京大理)との共同研究として、AdS_4xS^7/Z_kのAdS_2xS^1に広がるM2ブレーンの揺らぎを調べた。このM2ブレーンはkが無限大の極限でAdS_4xCP^3上のIIA弦となる。AdS_2上のモードとしてみた場合、揺らぎはSO(8)対称性を持つ超対称多重項にまとまることがわかった。さらに境界まで届くモードを明らかにした。これらは境界のWilson line(WL)に挿入される演算子と関係すると期待され、1/2BPS WLの構成への足がかりになると期待できる。
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