研究課題/領域番号 |
19540326
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
折原 宏 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30177307)
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研究分担者 |
氏家 誠司 大分大学, 工学部, 教授 (40185004)
副島 雄児 九州大学, 高等教育総合開発センター, 教授 (10206675)
杉山 正明 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (10253395)
羅 亮皓 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00421991)
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キーワード | ソフトマター / 強誘電性液晶 / X線解析 / 電場-温度相図 / リエントラント相転移 / 離散的モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、X線散乱測定等を用いて液晶性ソフトマターの構造とそれに及ぼす外場効果を調べることである。今年度は、X線散乱測定および誘電率測定により、リエントラント相転移(同じ相が温度を変えると二度現れる)を行なう強誘電性液晶の電場-温度相図を作成し、その相転移機構を考察した。測定に用いた試料は、高温側から相系列SmA-SmC*-SmCA*-SmCre*(SmC*と同じ相)を持つと報告されていた。しかし、今回の我々の研究により、SmCre*相はSmC*相と同一の相ではなく、異なる相であることがわかった。ただし、電場-温度相図上では高電場側で高温側のSmC*相が現われており、リエントラント相転移が起こることがわかった。また、層間隔の電場および温度依存性を測定したところ、温度変化に対して層間隔はSmCA*相の中ほどで極小を取ることが明らかとなった。これに対して、各相における電場効果は極めて小さいことがわかった。さらに、離散的モデルに基づくシミュレーションを行なった。各スメクチック層における液晶分子の傾き角および方向を表すオーダーパラメータを定義し、これにより自由エネルギーを展開した。最隣接間の双1次の相互作用が温度変化してその係数が符号を変えるとすると、実験で得られた電場-温度相図を定性的に説明できることが分かった。ただし、今回のシミュレーションでは観測された層間隔の温度、電場依存性は再現することができなかった。今後、双2次の非線形相互作用も考慮してシミュレーションを行なう必要がある。
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