研究概要 |
20年度はグラファイト基板上の金クラスターの運動方程式の4次のシンプレクティック解法のうち, 1つのタイプの計算を0.1μsにわたり, いくつかの初期エネルギーで実施した. 2次のシプレクティック解の結果と整合的である. 扱っている系は, ハミルトン系だから, 解は入射エネルギーを保存すべきである. 本計算では全過程を通し, 誤差は±5×10^<-10>eVの範囲に収まっている. 金クラスターの並進運動に関し, 変位の偏差の自乗平均, 速度の自己相関関数, パワー・スペクトル, 拡散計数などを求めた. 並進運動速度の自己相関関数に関し, サンプリング時間τ〓10^<-11>s付近から関数値0を中心としてτ程度の時間スケールで振動するが結果が得られた. 現在, 物理の内容を検討中である. また, 今回の模型で拡散係数の初期エネルギー依存性を見ると, 必ずしもどこも同じではなく, Levy walk的な拡散(異常拡散)を示すエネルギーところと, ガウス型の正常拡散に近いところがある結果が得られた点がある. この点については, さらに調べたい. 今回, 入射エネルギー0.5eVの場合だけだが, 丸山と同じように2.0μsの長時間にわたり, 4次の解法で計算した. 結果は現在整理中である.
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