研究課題/領域番号 |
19540329
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長谷 宗明 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (40354211)
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研究分担者 |
北島 正弘 物質・材料研究機構, ナノ計測センター, グループリーダー (00343830)
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キーワード | フェムト秒 / コヒーレントフォノン / ポンプープローブ分光 / プラズモン / ダイナミクス / 半導体 / 強誘電体 |
研究概要 |
本研究では、未だにダイナミクスとしては未開拓の領域、すなわち近赤外(850nm)〜中赤外(3μm)域の光源を用いた時間分解ポンプープローブ分光を用いて、強誘電性半導体等の構造相転移物質におけるソフトフォノンのダイナミクスの観測と制御、および金属や半導体等における電子のバンド内励起あるいはプラズモン励起に関する緩和ダイナミクスの研究を行う。本年度はまず、中心波長が、850〜900nmのフェムト秒パルスレーザー(パルス幅約20fs)を用いた時間分解反射率測定をファースト・スキャンにより行い、直接遷移型半導体GaAs、InP、InAsにおけるコヒーレントLOフォノン・プラズモン結合モードの観測および、プラズモンの緩和時間の同定を試みた。その結果、GaAs、InP、InAs全ての半導体において明確なコヒーレント振動を観測し、そのフーリエ変換ならびにウェーブレット変換スペクトルから、LOフォノン・プラズモン結合モードの下の分枝(L-)と上の分枝(L+)が励起されていることが分かった。特に、GaAsとInAsについて、L+モードの緩和時間をウェーブレット変換スペクトルのピーク強度時間依存性から求め、移動度の見積りを行ったところ、ホール測定による移動度と良い一致が見られ、本手法が移動度測定に有効であることが確かめられた。今後、さらに波長の長いパルス光を発生させ、電子のバンド内励起のダイナミクスや強誘電性半導体の構造相転移ダイナミクスに関した研究を行う予定である。
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