実験装置の一部改良を行い、準包接水和物結晶の核生成時におけるメモリー効果の発現状況を観察した。昨年度まではtypeAのhydrate結晶を用いたが、本年度はtypeBのhydrate結晶を用いて、メモリー効果の発現確率の測定を行った。typeBでは水溶液濃度32wt%が、結晶と同じ水とTBABの比率である「調和融点」であるので、40wt%から10wt%まで水溶液濃度を変えて実験を行った。 実験の結果、調和融点ではメモリー効果の発現が見られなかったが、低濃度においてメモリー効果の発現が見られ、その確率は調和融点の約半分の濃度でピークを持つことが明らかになった。これはメモリー効果発現のメカニズム解明に対して重要な情報である。 これらの研究結果は、一部は学会発表で公表しており、残りの部分は今後の国際学会で発表し、学術雑誌に投稿する予定である。
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