単層グラフェンは2次元ゼロギャップ半導体であり、電荷キャリアが静止質量ゼロの相対論的ディラック粒子のようにふるまうことが知られており、関心を集めている。 本研究は、ディラック粒子が多数集まったときにおこる集団振動励起のふるまいを実験的に調べ、通常の2次元電子系と比較することでグラフェンの2次元電子の特徴をあぶり出すことを目的とする。平成19年度は、グラフェンの試料づくりを中心に研究を行った。高配向性グラファイト(HOPG)を劈開する方法が現段階では最も簡便で高品質の試料が得られる。光学顕微鏡や原子間力顕微鏡などで観察すると、厚さ1nm程度、大きさ10μm程度の単層あるいは数原子層のグラフェン試料ができていることがわかった。現在、微細加工技術を駆使してこれらの試料をデバイス化する作業が進行中である。 試料づくりと平行して、測定に用いる希釈冷凍機の試料室にマイクロ波を導入する準備を行い、温度10mKで100GHzの高周波測定を行う環境が整った。
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