研究課題
有限の領域に閉じこめられた2次元電子でおこる特徴的な集団振動励起であるエッジマグネトプラズモンを使ってグラフェン2次元電子のエッジ状態を調べる目的で、試料の作成および観察を2通りの方法で行った。ひとつは、膨張黒鉛を材料としていくつかの化学プロセスを経て細長いリボン状のグラフェン試料(グラフェンナノリボン)を作成した。できた試料を原子間力顕微鏡で観察すると、幅100nm以下、長さ数μm程度のグラフェンナノリボンが得られていることが確認できた。我々のグラフェンナノリボンは厚さが1-5nm程度で、これは炭素1層ないし数層に対応するものである。また、これらはエッジの構造が原子スケールでなめらかであることもわかった。我々はグラフェン2次元電子のエッジ状態を調べるためのきわめて良質な試料を手に入れることに成功した。現段階では、グラフェンナノリボンの収率が思うように上がっていない。収率をあげることが課題である。もうひとつの試料は、シリコンカーバイドの熱分解によって試料表面にグラフェン層を析出させる方法で作成したエピタキシャルグラフェンである。できた試料をSTMで観察した。表面全体にグラフェン層が生成していることを確認した。観察する場所によって原子の配向が異なってしまっていることおよび材料のシリコンカーバイド結晶のステップの位置でグラフェンの構造が安定しないことなど、いくつかの課題も見つかった。熱分解するときの雰囲気などに工夫が必要である。
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