研究概要 |
光学非線形効果による現象として,主にハイパーパラメトリック散乱によるもつれあい光子対生成について理論的な研究を行った.主要な結果として(1)共振器中に埋め込まれたV型3準位系からの光子対生成(共振器QEDに特有な効果),(2)有限時間差で検出したもつれあい光子対の相関関数(共振器に特有な効果),が得られた. (1)共振器-V型3準位系からのもつれあい光子対生成 もつれあい光子対を生成するためには2光子カスケード放出過程が必要不可欠である.V型3準位系にはそのような過程が存在しないので,もつれあい光子対を生成させることはできない.ところが,V型3準位系を共振器に入れると,共振器QEDに特有なドレスト状態が形成され,もつれあい光子対が生成されるようになることを明らかにした. (2)有限時間差で検出した光子対の相関関数 2個の光子を有限時間差で1個ずつ検出したときの相関関数を計算し,もつれあいの度合いが検出時間差とともにどのように変化するか計算した.共振器がない場合は同時刻で検出された光子対しかもつれあい状態にないが,共振器がある場合は有限時間差で検出した光子対ももつれあい状態にあることを示した.また,相関関数がラビ振動に相当する量子ビートを示すことも明らかにした.
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