研究概要 |
1.共振器-V型3準位系からの量子もつれ光子対生成の理論 新しいタイプの量子もつれ光子対生成のメカニズムとして、共振器-V型3準位系のドレスト状態によるカスケード緩和過程を提案した。これまでの最子もつれ光子対を生成する方法と異なり、入射光の偏光と振動数を選ぶだけで、すべてのベル状態にある量子もつれ光子対が生成できることを示した、これは、共振器QEDによる典型的な効果と考えられる。共振器QEDの効果は他にも高純度の量子もつれ光子対を生成するうえで重要な役割を果たしている。1つは真空ラビ分裂が生じるおかげで、スベクトルのフィルタリングにより量子もつれ光子対を入射光から分離することができる点である、また、フォトン・プロッケード効果により、量子もつれ光子対の純度が高められる。さらに、適度な強さの入財光により、もつれ状態の純度が高いままで生成効率を飛躍的に向上できることも示した。以上のように、本研究成果は学術的な興味だけではなく、今後の量子情報処理技術の実用化においても重要な意義を与えている。 2.共振器QEDによる非線形光学応答の相殺問題 共振器ポラリトンによる3次の非線形光学応答のサイズ増大問題を共振器QEDにより調べた。共振器QED効果は吸収飽和と誘導吸収過程のバランスに強い影響を及ぼし、励起子-共振器、励起子分子-共振器結合状態のエネルギー準位を介して、非線形応答の大きさがサイズと共に劇的に変化することを示した,さらに、非線形光学応答が最大となる条件を明らかにした。本研究成果は、共振器による非線形光学素子の設計において重要な指針を与えるだろうと考えている。
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