研究課題/領域番号 |
19540344
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
深町 共栄 埼玉工業大学, 工学研究科, 教授 (20092314)
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研究分担者 |
根岸 利一郎 埼玉工業大学, 付置研究所, 教授 (70237808)
吉沢 正美 埼玉工業大学, 人間社会学部, 准教授 (70166932)
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キーワード | X線導波管 / 干渉縞 / 閉じ込め効果 / 動力学回折 / 異常透過 / ボルマン効果 / X線顕微鏡 / X線干渉計 |
研究概要 |
今年度は、(1)結晶X線ウエーブガイド(CXW)の製作、(2)実験系の整備、(3)放射光実験、(4)理論的検討の4項目をあげて取り組んだ結果、いずれの項目も計画通りあるいは、それを上回る結果が得られた。(1)においては、Geの薄い完全結晶を用いてCXWを製作した。これは期待する性能を発揮できるほど結晶を薄く加工することは出来なかったが、動力学効果で実質的な吸収が消える入射角を選ぶことによって、この結晶がCXWとして機能し、基礎実験に役立つことが確認された。(2)の実験に必要な、非対称モノクロメータおよび位置敏感型スリットの製作では、実験の仕様を満足するものが製作できた。(3)の放射光実験は、高エネルギー加速器研究機構におけるKEK-PF BL15Cの放射光を用いて行った。CXWの結晶の側面からの出力ビームの発散角を測定した結果、それは1秒以下と非常に狭いことが判明した。またX線ビームの入射位置とCXW内を伝播し側面に到達した出力ビーム位置までの距離を変えることによって、出力ビームの干渉縞の間隔が大きく変わる様子を測定した。(4)の理論的検討においては、主にこの干渉縞の生じる原因を追究した。その結果、結晶内の屈折ビームの方向は、X線の透過方向からは非常に大きくずれ、結晶表面とほぼ平行な方向を向くこととなり、この結果、入射位置から直接側面に直接到達する屈折ビームと、それよりは幾分透過方向に角度を変えた屈折ビームが結晶の底面に到達し、反射して側面に到達するとした屈折ビームとの干渉による干渉縞を求めたところ、測定結果と良く一致した。このことは、CXWを伝播するX線のメカニズムがほぼ解明されたことを意味し、この屈折ビームの大きな角度変化は、新しい原理に基づくX線顕微鏡開発の研究に役立つことが期待される。さらにまた干渉縞の解析結果はCXWを用いた新しいX線干渉計開発の道を開いた。
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