研究課題/領域番号 |
19540356
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 寿敏 東北大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (60212304)
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研究分担者 |
小形 正男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (60185501)
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キーワード | BCS機構 / 光学格子 / ボースアインシュタイン凝縮 / クロスオーバー / 超流動 / 変分モンテカルロ法 / 凝縮エネルギー / 引力的ハバードモデル |
研究概要 |
急速な発展を遂げている超低温に冷却した希薄原子気体の研究の中で、フェルミ原子種で起こる超流動機構が、粒子間の引力相互作用を増大させると共に、BCS型からBEC型にクロスオーバーする問題が大きな関心を集めている。これまで、クロスオーバー領域から強相関領域にかけて、相互作用(実空間で局所的)を信頼できる方法で扱う試みはほとんど無かった。そこで、局所相関を厳密に扱える変分モンテカルロ(VMC)法を用いて、フェルミ原子気体のBCS-BECクロスオーバーの問題、特に基底状態と低エネルギー励起について計算し、これまで行われた平均場に基づく近似の結果を吟味し、BEC領域の性質を確実にすることを第一の目的とする。試行関数として、多体のジャストロー型波動関数Ψ=PΦを用いる。一粒子状態Φには、主としてs波BCS状態を使う。多体ジャストロー因子Pとして、初年度には、まず同一サイト相関のGutzwiller因子P_Gと隣接サイト上で↑-スピンと↓-スピンの間の束縛因子P_Q(強相関展開をした場合に重要性が解る)を導入した波動関数を用いて、相互作用強度U/tと電子密度nで張られるパラメーター空間で、この波動関数がどのような振る舞いをするか計算した。最も重要な物理量として、凝縮エネルギー△Eを求めた。その結果、バンド幅程度の所で△Eは最大値を持ち、弱相関側ではexp(-t/|U|)、強相関側ではexp(-U/t)として振る舞うことが解り、ペアリングの原動力が明確に相互作用UからJ=t^2/|U|へと変化し、超流動の仕組みがBCS機構からBEC機構にクロスオーバーすることが確認された。こうした知見を基に、次年度以降は、引力モデルに対する波動関数の改良、及び銅酸化物で重要な問題となっている斥力モデルでのクロスオーバーを考えて行く予定である。
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