研究課題
非S波の異方的BCS状態においては、表面が大きな対破壊効果をもたらすために、表面からコヒーレンス長程度の領域で秩序変数が抑制される。表面近傍で秩序変数が空間変化し、それにより準粒子はアンドレーエフ反射を起す。表面に局在した準粒子状態ができ、表面アンドレーエフ束縛状態と呼ばれ、異方的超伝導・超流動体の表面に固有の準粒子状態である。超流動ヘリウム3のB相における表面状態密度には超流動ギャップエネルギーΔ以下に有限の準粒子状態密度が現れる。この束縛状態バンドのバンド幅Δ^*が、壁の鏡面度Sを大きくするにしたがって、広がっていくと予言されていた。Δ^*は音響インピーダンスが特徴的な折れ曲がりを持つ温度から実験的に決めることが出来る。またSは壁を超流動ヘリウム4の薄膜でコートすることにより制御可能で、その値も常流動ヘリウム3の音響インピーダンス測定から決定できる。実験からΔ^*/Δの温度依存性を求めることが出来た。Sが大きくなるに従いバンド幅が広くなっていくことを見出した。Sの小さい領域ではΔ^*/Δは、ほぼSに比例して大きくなり、Sの大きい領域では1に漸近した。Sc〜0.4以上の鏡面度で束縛状態バンドが超流動ギャップを埋めることが分かった。またヘリウム4コートした場合、音響インピーダンスの温度依存性に新たな異常が表れることを観測した。この異常は有限の鏡面度のとき、表面状態密度のゼロエネルギー状態が強く抑制されることによって説明された。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Journal of Physics : Conference Series 150
ページ: 032106-1-4
J. Fluid Mech. 619
ページ: 261-275
Phys. Rev. Lett. 101
ページ: 17503-1-4