多極子秩序に関する研究としては、Sm系充填スクッテルダイト化合物SmRu_4P_<12>の単結晶を用いた角度制御NMRスペクトル測定行い、磁場中において秩序構造を反映したドメイン構造に起因すると思われる実験結果を得た。また、Yb系化合物YbAl_3C_3について緩和時間の温度依存性を測定することにより、結晶構造に起因した幾何学的フラストレーションが80K以下の秩序状態においても残り、特定の波数を有するスピン相関が発達しにくい状況であることを示唆する実験結果が得られた。 一方、代表者は平成19年10月より兵庫県立大学物質理学研究科に異動となり、新たな環境でのNMR測定システムの構築と整備を行った。具体的には、 ・NMR用AMPの購入などによる測定システムの整備。 ・測定用プローブの製作 ・新たな測定対象物質の開拓 などである。その結果、既存の装置を有効利用することにより、より感度の良いNMR測定が可能になりつつある。これらの装置を用いて、SmRu_4P_<12>の関連物質NdRu_4Sb_<12>の測定を開始し、フェルミ面の形状を反映している思われる測定結果を得た。また、以上に大きな電子比熱係数を有するYb系化合物YbCo_2Zn_<20>に関して東大物性研究所との新たな共同研究を開始した。
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