低温超高真空走査型トンネル顕微鏡/分光(STM/STS)により、層状窒化物超伝導体の表面原子配列およびナノスケール電子状態に関する研究を行った。これらの物質にはα(FeOCl)型とβ(SmSI)型の層状多形が存在するが、それらの面内原子配列の違いを実空間で直接明らかにした。また、両者の電子状態分布に顕著な違いを見出した。超伝導転移温度T_cで規格化したエネルギーギャップ2Δ/k_BT_c(k_B:ボルツマン定数)はBCS理論値を大きく凌いでいる。このことから層状窒化物では電子対の結合が非常に強く、超伝導機構が従来とは異なることを示している。
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