研究概要 |
「スピン位相制御とスピンカレント」を中心としてカイラル磁性体に潜む豊かな物理を探り出し、磁性物理の新領域を開拓するとともにスピントロニクス分野にも波及効果のある研究を推進することが本研究計画の目的である。昨年度最大の成果は,スピンカレントを駆動する新たな方法としてスピン偏極電流を活用できることを明らかにした点である。これは、カイラル磁性体がスピントランジスタとして活用できることを示したもので、スピントロニクス典型物質としてのカイラル磁性体の潜在的機能を明らかにしたことになる。また、この場合に情報転送の担い手となるカイラルソリトン格子と呼ばれる位相秩序状態の物性を詳しく調べた。この結果、電子スピン共鳴実験を通してソリトン格子フォノン共鳴が検出されるべきことを明らかにした。これらの結果は、現在実験研究者の手によって検証を待つ段階である。
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