研究課題/領域番号 |
19540375
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
古川 信夫 青山学院大学, 理工学部, 教授 (00238669)
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研究分担者 |
松川 宏 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20192750)
堀田 知佐 京都産業大学, 理学部, 講師 (50372909)
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キーワード | 物性理論 / メモリー効果 / 電荷整列 / 電荷密度波 |
研究概要 |
フラストレートした格子上の二重交換模型をモンテカルロ法によって数値的に調べた。フラストレーションの効果により、強磁性-常磁性転移は電荷不均一が伴う不連続転移であることがわかった。これを用いると、磁気的性質によって系の電荷分布をコントロールすることができ、新たなメモリ効果の発現につながると考えられる。 新規開発した非平衡拡張モンテカルロ法により、格子気体モデルに基づき、有限電場下の電荷秩序系のメゾスケールダイナミクスを数値的に調べた。この方法はマルコフ過程を越え、ある種の記憶効果をモンテカルロ法にとりいれたものである。この方法により、非線形電気伝導を説明することはできたが、実験的に観測されているスイッチング的挙動を再現するには至らなかった。また、この問題と密接な関係がある摩擦の問題を数値的・理論的に調べ、特異な輸送現象を見いだした。 α-ET213は圧力下でディラックコーン型のエネルギー分散をもつ。この系は電荷秩序相近傍に位置する電子間の相互作用の強い系である。本研究ではサイト間の相互作用を平均場的に導入し、解析的および数値的に電子状態の幾何学的な性質を調べた。その結果、この系においてもディラックコーンの安定性が幾何学的に保証されていることが明らかになった。また、1次元の局在スピンが電荷秩序系とカップルした系において、電子系の基底状態の磁気的なセクターに強い擬縮退が存在することを密度行列繰りこみ群を用いて示した。この擬縮退を利用すると、外場(磁場)の印加に敏感な電子状態が期待できる。実際、フタロシアニン錯体TPP[FePc(CN)2]2は巨大な負の磁気抵抗を持つことが知られている。電荷秩序と磁性が絡むことによって、特徴的電子状態が得られるため、メモリ効果への応用も期待できる。
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