研究課題/領域番号 |
19540378
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
宮川 宣明 東京理科大学, 理学部, 准教授 (20246680)
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研究分担者 |
常盤 和靖 東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (60307709)
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キーワード | 銅酸化物超伝導体 / 電子ドープ型 / ホールドープ型 / 超伝導ギャップ / FeAs系超伝導体 / 2-ギャップ / Pd系新規材料 |
研究概要 |
トンネル分光研究は、超伝導起源を解明する上で非常に重要な超伝導ギャップの対称性やその大きさを知ることができ、さらに対形成相互作用に起因しているボゾンについての知見を得られるためにとても有効な測定手段である。そこで本年度は、電子ドープ系のPr_<1-x> LaCe_x CuO_4(PLCCO)およびホールドープ系T1Ba_2CaCu_2O_<6.5+δ>(T11212)、Ba_2Ca_2Cu_3(O_<1-x>F_x)2_O_y (0223F)の研究を中心に行った。この電子ドープ系の研究は、電子-ホール(非)対称性について調べる目的で行われた。その結果、PLCCOでは、過剰ドープ状態では、ホール系と同様にd波対称性を表すが、不足ドープ域にキャリア数が減ぜられると、非単調型d波となることがわかった。このUD状態での対称性については、ホールドープ系とは異なることがわかった。さらに上記ホールドープ系材料では、超伝導ギャップ観測を世界で初めて成功した。さらに銅酸化物関連物質のトンネル分光研究として、昨年度発見されたFeAs系の高温超伝導体の研究を行った。ここでは酸素欠損型NaFeAsO_<1-y>のTc〜51Kの材料に対して行われた。その結果、2種類のギャップが観測されることがわかり、他の先行研究との比較の結果、「点近傍のギャップとM点近傍のギャップに対応するものと思われる。まだ秩序パラメータ対称性、電子間引力相互作用の原因などについては更なる研究が必要であるが、ある程度の成果を出すことに成功した。また新規材料探索ではPd系酸化物を中心に行われたが新規超伝導体発見までには至ってない。しかしながら興味深い異常も観測されたために今後さらに期待できる。
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