我々は高圧下にあるα-(BEDT-TTF)_2I_3でバルクのゼロギャップ電子系を見出してきた。通常、磁場をかけると固体中の電子のエネルギーは、とびとびの値しかとれない。これをランダウ準位と呼ぶ。ゼロギャップ電子系では、ゼロモードと呼ばれる特別なランダウ準位が、エネルギーギャップがゼロの位置に磁場によらず常に現れることが特長である。本研究では、層間方向の電気抵抗を50mK程度の極低温状態の磁場下で調べ、このゼロモードを観測することに成功した。この有機導体物質が確かにゼロギャップ電子系であることの決定的な証拠となる。
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